シトリン欠損症について

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シトリン欠損症について(2023年11月16日更新)

 


 

 
 シトリンは,主に肝臓に発現するアスパラギン酸グルタミン酸輸送体であり,リンゴ酸—アスパラギン酸シャトルを構成する.このシャトルは,肝の解糖系に不可欠であり,シトリン欠損症では,肝の解糖系,脂質合成およびβ酸化が障害され, 肝細胞のエネルギー欠乏をもたらす.シトリン欠損症により惹起される新生児肝内胆汁うっ滞症(NICCD),発育不全と脂質異常症(FTTDCD),シトルリン血症2型(CTLN2)の病態について解説している.
 
 


 

 
 中脂肪酸療法は,肝細胞にエネルギーを供給し,脂肪合成を促進し,リンゴ酸―クエン酸シャトルを介し細胞質のNAD+/NADHを改善し,アンモニアの代謝も改善する.また,乳児期および思春期の成長障害およびシトルリン血症2型発症の予防効果が期待される.中鎖脂肪酸は,食事とともに摂取することが重要であり,早期導入により,予後が大きく改善される.
 
 


 

 
 シトリン欠損症は,小児では低血糖症,成人では高アンモニア血症により脳に不可逆的な障害をもたらす重篤な疾患である.シトリン欠損症の病態を考慮し,成人発症シトルリン血症2型の発症予防とともに生活の質を改善する生活,特に食生活と生活上の注意事項について解説している.
 


 

 
 シトリン欠損症の病態および治療法,主に中鎖脂肪酸療法について解説している.中鎖脂肪酸療法では,肝消費エネルギー相当量を食事とともに摂取すること,早期かつ継続的な治療の重要性について記載している.果糖を含む輸液は禁忌であるが,中心静脈栄養は血糖の調節と,肝細胞への栄養(脂肪およびアミノ酸製剤)供給が行われれば安全に施行できる.持続する高血糖を回避することが重要であり,糖尿病の併発例では,血糖の調節が重要である. 
 
  


 


  • 6. 第20回シトルリン血症の会 家族交流会(2023-11-4)の分科会においてスライドを使って説明した内容、質疑の内容と医療者に向けた乳酸リンゲルによるアシドーシスについて
  •   患者会スライド (PDF)